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サガマリアージュセミナー Report
2024年4月に開催したサガマリアージュセミナーでは、国内外の世界的なガストロノミーレストランでの経験をもとに、料理人の思考を研究する、文化人類学者・藤田 周氏をゲストにお迎えし、「ローカルガストロノミーを体現するシェフたちの思考」について語っていただきました。
近年、ローカルガストロノミーという言葉が使われるようになり、地方の食文化に注目が集まる中で、藤田氏は世界ベストレストラン50で 2023年に1位を獲得したペルーのガストロノミーレストラン「セントラル」など国内外のレストランのキッチンで働きながら、料理人たちがどのように地域の食文化に向き合い、料理に取り組んでいるのかを調査されてきました。藤田氏による、文化人類学者の視点で見るローカルガストロノミーの価値についての研究は、さまざまなメディアで取り上げられるなど、現在注目を集めています。
セミナー前半では、ローカルガストロノミーが地域・社会に及ぼす影響やローカルガストロノミーを体現する料理人たちが追い求めているものについて、国内外のレストランやそこで提供されている料理の事例を通して、お話いただきました。
後半には、人間国宝等の器で佐賀の美食を楽しむレストランイベント「USEUM SAGA」に出演していただいた梶原大輔シェフ(Kaji synergy restaurant / 武雄市)と川岸真人シェフ(カレーのアキンボ / 佐賀市)も登壇され、藤田氏が実際に佐賀を訪問して2人の料理を味わい、対話をする中で何を感じたのか、国内外の料理人たちの試みと比較しながら、佐賀のローカルガストロノミーの現状やこれからの可能性などについてトークセッションを実施。参加者とも意見を交わしながら、活発な議論が行われました。
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開催日時
2024年4月8日(月) 15:30〜17:00
開催場所
SAGA CHIKA (佐賀県庁 新館地下1階)
ゲスト講師
藤田周(文化人類学者 / 東京外国語大学)
内容
①ローカルガストロノミーとは
②ペルーの世界的レストラン「セントラル」のシェフたちの思考
③料理人が追求する「おいしさ」について
④佐賀のローカルガストロノミーを探る
〜藤田氏×佐賀の料理人によるトークセッション〜
(セッションゲスト)
・梶原大輔 Kaji synergy restaurant(武雄市)オーナーシェフ
・川岸真人 カレーのアキンボ(佐賀市)オーナーシェフ
⑤参加者との意見交換定員
約30名
参加費
無料
出演者
藤田 周
文化人類学者1991年、静岡県生まれ。東京外国語大学特任研究員。2000年代から各国の高級レストランの一部で見られるようになった「現代料理(ローカルガストロノミー)」を研究する。世界ベストレストラン50で2023年に1位を獲得したペルーのレストラン「セントラル」、および国内レストランでのフィールドワークによって、人々がどのように料理に取り組んでいるのかを調査。また、料理や芸術の研究を交錯させ、料理とはどのような行為か、創造とは何かといったことについて研究している。
梶原 大輔
「Kaji synergy restaurant」 オーナーシェフ1980年佐賀県嬉野市生まれ。高校卒業後、20歳で飲食業界に入り、バリスタの勉強のためイタリアを中心にヨーロッパ各地を巡るなかで料理をつくること自体への興味が芽生え、料理人を志す。帰国後は、地元佐賀へ戻り、イタリア料理店に15年勤務。2012年にソムリエの資格を取得。2018年に独立し、「Kaji synergy restaurant」をオープン、現在に至る。自ら山に入り、海に行き、畑を訪ね、そこで出会った食材のありのままを受入れ、一皿に表現する。2021年には狩猟免許を取得し、より自然との触れ合いを楽しんでいる。「ゴ・エ・ミヨ2024」では佐賀県内7店舗の1店に選ばれる。
川岸 真人
「カレーのアキンボ」 オーナーシェフ1984年佐賀県佐賀市生まれ。佐賀県立佐賀北高校普通科芸術コース卒業。日本大学芸術学部美術学科卒業。都内の寿司屋で3年修業を積み、2010年、東京・錦糸町に「カレーのアキンボ」をオープン。2015年に佐賀へ戻り、完全予約制・コースのみのスタイルにリニューアル。週に一度は生産者を訪ね、その時々で出会った食材をベースに料理を組み立てる。「ミシュランガイド2019福岡・佐賀・長崎版」ビブグルマン獲得。「ゴ・エ・ミヨ2024」では佐賀県内7店舗の1店に選ばれる。